逆子のお灸治療、身も蓋もない話

今回は表題どおり、同業者にとって身も蓋もない話題です。(;゚∀゚;)

「お灸で逆子がもどる!」ってことが昔から言われていて、
古典なんかにも至陰や三陰交などのツボにお灸をすることが載っています。
まあ鍼灸師もそれをもとに追試してみると確かに高率で治る・・・ようです。

少し前にある産婦人科のドクターが、ほんとうに効くかどうか統計取って
論文発表したことがあります。たしかにお灸をしないより、した方がよく効くと
いう要旨で、鍼灸の雑誌なんかには今でもそれが引用されたりします。
そのドクターは、鍼灸の学会や勉強会に何度も呼ばれて講演してたようです。


で、身も蓋もない話題はこの先・・・(;゚∀゚;)

だいたい逆子のお灸がよく効くのは35週くらいまでで、
経験的にそれを過ぎるとガタンと効果が下がります。
おなかの赤ちゃん、おっきくなりますからね。
臨月近くになっても、がんがんに暖めると戻ることも
ちょくちょくあります。

まあ、そんな雑談を東洋医学も実践しておられる産婦人科ドクターの
友人とするわけですが、次のようなおもしろい話もしてくれました。

彼によると、妊娠8ヶ月、つまり30週前後で妊婦さんのお腹を
エコーで見るとけっこう逆子があるけれども、次の検診、
つまり通常1~2週間後くらいもう一度エコーで診てみると、
自然に戻っているケースがほとんどなんだとか。

逆子治療に鍼灸院に来られるのも、このあたりの週数の方が
多いんですね。まあ、30週未満で逆子が発見され、
ドクター放置状態で治らず31~33週くらいが多いかな?
別に当院だけじゃなくて、他の治療院でも同じような感じでしょう。

毎日たくさんの妊婦さんを診ている産婦人科のドクターが
効くかどうかどうかイマイチ不明な逆子体操を教えて放置している
週数で、不安に駆られた妊婦さんが鍼灸院に来られるわけです。

で、治療院でお灸すると治る。鍼灸師にとったら、
「ドクターは逆子を治せないのにオレのお灸で逆子を治してやったぞ!」
なんて天狗になるわけですが、ドクターにとったら放置でも治ることがほとんど・・・

外回転術で治してしまうドクターもいますが、
リスクもあるので、やる方は減っているようです。
そんなリスクを取るより、帝王切開で赤ちゃんを出した方が
リスクが少ないから・・・という発想なのでしょう。

そんなわけで、よくよく考え直してみると、

出産にとって一番重要なのは、
母子ともに安全に出産を終えることです。

逆子でなくても、母子ともに元気だったのに
出産中にどちかに問題が生じることもあるわけです。

友人の産婦人科医がいうには、
「最近の親は、元気な赤ちゃんが生まれてくるのが当然だと思っているけど、
実際は分娩終わるまで油断はできない・・・」

正常分娩でも分娩中に問題が起きて、
赤ちゃんに障害がおきることもあります。
毎日何人も赤ちゃんを取り上げているドクターは
その怖さを常に感じているんじゃないかと思います。

で、最初の話に戻るわけですが、
妊娠の最終目的は母子ともに健康に
出産を終えることです。逆子を治すことではないし、
正常分娩することでもないのです。
「帝王切開は悪」「正常なお産が善」ではない。

頭位つまりふつうの胎児のポジションでも
全然べつの理由で帝王切開になる場合は珍しくない

というのが、毎日お産に対処しているドクターの普通の認識でしょう。

ひょっとしたらお灸をして積極的に逆子を治すより、
そのままそっとしておいて、出産した方が安全な場合もあるかも知れない。
そのあたりの鑑別は鍼灸師にはできない。

ということで、

自然分娩できればその方がいいけど、
お産だろうが帝切だろうが
産まれてきた赤ちゃんに区別はないし、
なによりも母子の安全が優先されるべき・・・

という発想が広まるべきなのかも知れないなあと思います。


まあ、逆子のお灸治療に関してこんな身も蓋もない
ことを考える今日この頃です。

同業者の反発くらいそうな話題でした(´ヘ`;)ハァ

    (2015年01月18日:
  • はてなブックマークに登録する
  • livedoorクリップに登録する
  • FC2ブックマークに登録する
  • Buzzurlブックマークに登録する
関連記事
  1. 逆子のお灸治療、身も蓋もない話
    今回は表題どおり、同業者にとって身も蓋もない話題です。(;゚∀゚;)「お灸で逆子...
  2. 陣痛促進の鍼灸治療
    出産予定日を過ぎた妊婦さんが「陣痛促進の治療をして欲しい」ということで来院さ...
  3. 鍼灸・マッサージによる安定期の妊婦さんの腰痛治療
    安定期に入った妊婦さんで、「腰痛をなんとかして欲しい」とお問い合わせされる方がい...
  4. 妊娠初期の腰痛はお灸とマッサージを多用
    妊娠初期の腰痛で来院された患者さんに関する考えをいくつか書いておきます。 まず基...

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.kashima-hariq.com/MTOS/mt-tb.cgi/679

コメントする