投資として考える鍼灸専業での独立・開業

昨日の日記で、母校の鍼灸学校に行って、
学生さん相手に鍼灸専業治療院の開業経験を話したと書きました。
そのときにレジュメをお配りしたのですが、
死蔵させておくのももったいないので、ここに公開します。

あたりまえのことしか書いてませんが、
その当たり前のことを知らないで安易に開業し、
上手くいかず閉院してしまう方も散見します。鍼灸専業で経営するのは、
マッサージや整骨院で経営するのとは違って難しいです。

当院は繁盛治療院ではありませんが、開業13年目に入りましたので、
ちょっとくらいなら偉そうに語ってもいいでしょう(10年続く治療院は少ないのです)。

10分程度の話のレジュメなので分量は少ないですが、
ご参考にでもなればうれしいです。

投資として考える独立・開業    
                                かしま鍼灸治療院院長 鹿島洋志
§1 働くことを投資として考えてみよう
・医療人は、働く目的としてお金を最優先してはいけないけれども・・・・

・鍼灸を生業にするとは、資金投下して利益をあげ、投下資金を回収し、資本を増やすことであり、それを大前提にしないと生き残れない。


§2 あなたの資本と負債は?
・投資(開業)には資産が必要
・資産とは=資本+負債である
・資産とは現金・土地・建物だけでなく、将来利益を生むものすべて

・たとえば・・・治療の技術力・医療の知識・年齢・性別・被扶養者である・副業の有無・カリスマ性・営業力等々


§3 投資のリスクとリターン
投資のリスク:投資で損失する可能性
投資のリターン:投資でもうけること


§4 四種のリスクとリターン
投資のリスクとリターンの関係は次の4タイプしかない。鍼灸はどれにあてはまるか?
1)ハイリスク・ハイリターン
新興銘柄・IT関連・ベンチャー企業への就職
一攫千金をねらえるが、株は紙屑、就職企業は倒産する可能性大
2)ローリスク・ローリターン
先進国の国際(世界的な金融危機だが)・3.11以前の電力株・代々つづく老舗。
3)ローリスク・ハイリターン
基本的にない・公務員くらいか(これから先はわからないが・・・)あれば投資家が群がり、ハイリターンでなくなる。
4)ハイリスク・ローリターン
見返りが少ないのに危険なことをすることは基本的にない。芸術・芸能系の仕事、下町の町工場への就職


§5 鍼灸専業はハイリスク・ローリターン
・鍼灸専業で大きく儲けている人は少ない。業界で有名な人でも大きく儲けている人は少ない。
・鍼灸は労働生産性が低い。
・極論すれば、あん摩・指圧・マッサージは治せなくても気持ちよくさせれば患者さんはつく(もちろん治せるにこしたことはない)。
・しかし鍼には治らなくても気持ちが良くて患者さんがつくというのはない。かといって患者さんを治療で満足させられるには時間がかかる。痛い・治らないでは来ない。
・鍼灸専業&治療の収入のみで開業10年続いている人は少ない。
・私の同級生では三人だけ(たぶん)。


§6 自分が持っている資産と資金で生き残り戦略を考える
・増やせる資産:開業前にできるだけ技術力・知識・資金をためておく
・増やせないけど有効活用できる資産:有効活用する方策を立てておく
・負の資産(負債)はできるだけ減らす:借金・働かない家族・一人暮らし等々

・正解はひとつではないが、失敗する戦略はある(就職先がないので開業、すぐに廃業なんて最悪の戦略例はけっこうある)。

・生き残るには自分の資産と資金をもとに取れるリスクを考え、行動すること(リスク管理という)。
・リスクを管理して資産を増やす(大成功より失敗しないことをめざす)
・そこそこの治療技術を身につけるにはどうすればよいか?
・開業前にいかに資産と資金をためるかが最重要

・下手でもカリスマ性や営業力で成功する人はいる(これはこれで一種の才能)。
・治せる技術力を身につけるには時間がかかる(10年で一人前)。
・本を読んでも技術は身につかない。
・開業して軌道に乗るまでいかに食いつなぐか?
・若さは大きな資産である。20代独身は大いにリスクと取れ。
・取れるリスクが少ない人(たとえば40代で専業主婦の女房・子供・家のローンあり)は、成功より失敗しないことを優先する(借金するな)。

    (2012年09月20日:
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