慢性疲労症候群(CFS)の鍼灸治療

慢性疲労症候群は通常の生活を送るのが困難なほどの激しい全身疲労や全身倦怠がベースにあり、それに加えて微熱・リンパ節腫脹・頭痛・抑うつ等さまざまな身体・精神症状が長期に渡って続く病気です。1~2年で軽快することが多いですが、長期わたる場合もよく見られます。原因不明の病気で、専門医以外には確定診断するのは難しいようです。

慢性疲労症候群(CFS)の鍼灸治療

中国医学的には陰陽両虚と考えられます。陰陽両虚とは陰気と陽気共に虚しているという意味です。中国医学では人間の元気を陽気と陰気に分けます。陽気は元気を使って活動する働き、陰気は陽気を沈めて元気を体内に蓄える働きです。昼間は陽気が優勢になり、夜は陰気が優勢になります。両者が拮抗することによって、人間の元気が維持されているわけです。慢性疲労症候群はこの両者ともに衰退する病気と考えられます。経過としては働き過ぎなどで陰気・陽気がともに消耗されますが、陰気の損傷の方が強く、それが過ぎて陽気までも過度に消耗されて全身の元気が衰退していくパターンが多いようです。

治療としてはまず陰気を補うことから始めます。元気がないので陽気を補いたくなるところですが、陽気を生み出すには陰気が必要です。しかし陰気が損傷されているために、いきなり陽気を補うと、陰気の損傷が進みます。これでは悪化しますので治療はまず陰気を補うところから始めます。陰気がある程度回復してはじめて陽気を補う治療を加えます。治療自体は簡単な部類に入りますが、この陽気を補うさじ加減が難しいです。その見極めができるか否かが治療者のウデのみせどころになります。

体がほてる・のぼせる・不眠などの陰虚系の症状が3~6ヶ月程度でとれてしまうことが多いですが、治療は長期にわたります。最低でも半年~1年は必要です。

専門家からのご質問にお答えして

中国医学の専門家からご質問がありましたので、以下にお答えしてみます。

(質問)HPでは慢性疲労症候群は中医学的には陰陽両虚証だとのご説明でした。これはどのような所見からそう判断されたのでしょうか?慢性的な疲労感があるので陽虚があるのは分かるのですが、陰虚証というのがよくわかりません。

(回答)まず基本的に日本と中国では証の概念が違いますが、ここでは中国流、現代中医学的な証の概念で説明しています。

さて陰虚証の所見ですが、陽虚があるので初心者には鑑別しにくいかもしれません。

まず慢性疲労症候群の診断基準に、微熱・咽頭痛・睡眠障害が含まれていますが、これは陰虚の基本症状ですね。頭痛や多関節痛も診断基準にありますが、陰虚が進んで内燥が進むと筋脉のひきつりが起きますので、これも陰虚の症状です。このあたりは分かりやすいのではないでしょうか?

四診でも陰虚証の所見が観察されます。脉診も細数がよく出ています。しかし陽虚もありますので、脉は沈んでいてやや緩だったりします。面診も頬に絳色がでていたり舌も痩・絳舌がでています。しかし陽虚系の症状も混じっていますので、脉は沈緩、面色は白、舌もやや嫩舌ぎみです。

慢性疲労症候群は陰虚系と陽虚系の所見が交雑しているのですが、初心者は陽虚の所見に意識が向かいやすく、鑑別が少し難しいかもしれません。治療上の注意点は陰虚の治療を先に行い、陰がある程度補われてから、陽虚の治療を行うことです。陽虚の治療を先に行うと、陰が損傷されて病が進行してしまいますので、陽を補うタイミングには注意しなければなりません。

※慢性疲労症候群で、当院に来院されている方のブログです。治療体験談などもご参考にしてください。
       ただいま静養中

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