脉診の基本構造

以下の文章は、学生向けの勉強会で行った脉診の講義をまとめた物のひとつです。

中国医学の理論構築の基礎となっている考え方が天人相関説です。この場合の天というのは狭義の天ではなくて大自然(大宇宙)という意味です。その大自然の原理と人体(小宇宙)の原理が相似形をしており、互いに関係し合っているという考え方です。正しい関係性が保たれているのを健康の理想型と考えます。

天人相関説で重要なのがその関係モデルです。天のモデルと人のモデルが相似形と考えるわけですが、このモデルにはいろいろあります。たとえば

   陰陽:天の陰陽と人の陰陽の関係はどうか?
   五行:天の五行と人の五行の関係はどうか?
   六気:天の六気と人の六気の関係はどうか?
   五味:地の五味と五蔵の関係はどうか?

等々のいろいろな解釈モデルがあります。診察ではこの天人の解釈モデルを人と診察部位の相似関係に投影させます。つまり天を大宇宙、人を小宇宙と見ていた関係を、人全体を大宇宙、診察部位を小宇宙として相似的に投影しなおすわけです。これによって

   (自然の状態 -) 人の状態(生理) - 診察部位の状態

が分析モデルにしたがった相似形と、とらえることができます。こういう考え方が中国医学の診察法で人体を見る基本的な考え方です(分析モデルに自然界を入れないものもあります)。

たとえば単純に天人を陰陽に二分するモデルを例にあげてみます。

太陽は陽気のかたまりなので、太陽がでている時間は陽気が優勢になる時間です。太陽が沈んで月の出る時刻は陰気が優勢になる時間です。太陽の日照時間が長くなると陽気が多くなり、短くなると陰気が多くなります。日照時間が一年で一番長いのは夏至のときで一番短いときは冬至の時です。人体の陽気・陰気もこれに呼応します。夏になると天の陽気を受けて身体の陽気が盛んになり、新陳代謝が上ります。冬になると身体の陰気が多くなり、新陳代謝も下がります。

それを四診でもとらえることができます。たとえば体が四季に正しく呼応しているかを診る脉診(脈状診)があります。陽気が多くなると身体は新陳代謝が多くなって熱の産生量も多くなります。そうすると脉が太くなって浮いてきます。この夏の脉を洪脉と呼びます。冬は身体の陰気が多くなり身体の新陳代謝が下がってきますので、脉は沈んで細く固くなります。この冬の脉を石脉とよびます。

以上は陰陽に分けただけの単純なモデルです。中国医学には治療目的に応じたさまざまな天人相関モデルがあり、分析に使用します。

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