逆子の灸治療

逆子の灸治療は昔から有名で、産科病院でも取り入れているところが結構あります。国内外の産婦人科医による逆子の灸治療の効果を記した論文がいくつかあり、産婦人科の医師の間でも有名になりました。

産婦人科で逆子が発見されると、逆子体操や胎位の矯正手技を行う方法がありますが、比較的効果が低いようです。特に矯正手技は危険度も高く、死産になるリスクも高くなるので、矯正を行わない主義の医師も結構いらっしゃいます。それに対して逆子の灸治療は効果が高く安全なので、こちらの方をおすすめします。

当院での逆子の治療

当院での逆子の治療は、温灸療法を中心にしています。温灸療法というのはお灸をするときにつかう艾(もぐさ)を棒状に固めたものをツボにかざして温める治療法です。数回、2週間程度来院していただき、経過を拝見します。熱くはありませんし簡単で安全度の高い方法なので、出産までご自分で施灸するよう、御指導させていただいています。

ただし臨月の方には直接灸をお勧めしています。直接灸は艾を半米粒大にして直接皮膚にすえる方法です。この方法は、ヤケドをさせないようにするのがポイントで、患者さんご自身では無理なので、数回通院していただくことになります。

逆子治療の注意点としてはできるだけ早期におこなうことです。赤ちゃんが小さいうちは矯正率が高くなりますが出産予定日に近づくにつれて低くなっていきます。30週前後ですと医師に様子を見るよう指導されることが多いです。これは放って置いても逆子が治る確率が高いからですが、治らない場合は帝王切開になる可能性が高くなります。お灸治療では30週前後ですと高率で矯正できますので、できるだけ早くお灸治療をはじめることをお勧めします。

方法

次に逆子の灸のやり方を以下にご紹介します。妊婦さんご自身でやられても安全です。信頼のおける鍼灸院で治療を受けられて、指導してもらうといいでしょう。

逆子の灸治療は右足小指にある至陰というツボに温灸をします。温灸というのはモグサを棒状にしたもので、ツボにかざして温めます。人によってさまざまですが、最低でも20分以上あたためます。当院だと多くは1~2回ぐらいで矯正されます。

温めていますと下腹部が暖かくなってきて、お腹のあかちゃんが動き出します。逆子のお母さんは下腹部が冷えていることが多いので、赤ちゃんも寒がっているのかもしれません。お母さんの下腹部が暖かくなると赤ちゃんも気持ちよくなって動き出すんじゃないでしょうか?お灸をすると赤ちゃんが動き出すのを感じると、幸福感を感じられる妊婦さんが多いようです。

一度逆子をされた方、逆子にならなくても虚弱・冷え症の方は出産までの毎日、右至陰への温灸をするといいでしょう。安産で赤ちゃんとご対面できると思います。

逆子治療で効果が低い妊婦さん

・出産間近。赤ちゃんが大きくなるほど元に戻る率が低くなります。ただし不可能というわけではありません。

・羊水が少ない方。羊水が少ないと赤ちゃんがお腹で動きにくいので、効果が低くなります。

・子宮の奇形。子宮の奇形がある場合にも効果が低くなります。

・小柄・子宮が固い妊婦さん。赤ちゃんが動く空間が少ないためです。

こんな治療は要注意!

インターネット上で鍼灸の逆子治療を紹介しているHPがありますが、専門の私が見ていて危ないなあと思うような治療もありますので三つほど紹介します。ご注意下さい。

1)三陰交に灸頭鍼
三陰交は内くるぶしの上三寸にある経穴です。ここへ灸頭鍼をするやり方を紹介している鍼灸師がいます。灸頭鍼というのは鍼を刺して、鍼を持つところへ親指大のお灸を乗せる方法です。(写真)

よく紹介されている治療法で一番危険なのがこの方法です。流産する確率が高くなるので妊婦に使用しては危険です。特にお母さんが虚弱であったり流産傾向のある人はダメです。

なぜかといいますと、三陰交は堕胎にも使う経穴なんです。堕胎させるには太めの鍼を使い、とある方法で響かせます。これにも結構技術が必要なんですが、未熟な鍼灸師が知らずに堕胎させるような方法で響かせてしまうことがあります。灸頭鍼の場合は特に太めの鍼を使いますので、妊婦には禁忌としておく方が無難でしょう。

もっともなにをしても大丈夫な妊婦さんもいらっしゃいます。三陰交への灸頭鍼が必ず流産をひき起こす訳ではありません。しかし至陰への温灸で十分なので、わざわざリスクを犯す必要はありません。

2)至陰への自宅施灸

至陰へ温灸ではなくて、直接お灸をすえるやり方も有効です。
米粒の半分くらいの大きさのモグサをすえます。

注意点は<ヤケドをささないこと>ことです。これが結構難しくて、習練が必要なんですね。素人の患者さんにはまず無理です。姿勢的にも自分でするのはヤケドをさせてしまいやすい。

ヤケドをさせても流産するということにはならないと思いますが、妊婦さんの体調がおかしくなることは十分考えられますのでご自身ではやらない方がいいです。信頼のおける鍼灸師にやってもらってください。

3)両方の至陰への温灸

これは流産などの危険度はほとんどありませんが、体調の変化のことを考えるとやらない方がいいでしょう。ツボというのはそのほとんどが左右対称にありますが、どのツボも右と左では作用が違います(中国医学的にはややこしい理由があります)。至陰も同じ事です。右の至陰だけを使います。

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