花粉症

春になると花粉症の人が増えますね。西洋医学ではアレルギーの一種としてとらえますが、中国医学では別の考え方をします。

中国医学では季節のことを考えて治療しますが、旧暦で考えていきますので、節分を過ぎれば春とみなします。春は発陳といって、太陽の陽気が強くなってきますので、植物が芽吹きはじめ、冬眠していた動物が動きだします。人間も、寒い冬にちぢこまっていたからだの活動性が、増してくる時期でもあります。実際のところ二月はまだ寒いのですが、面白いことに、陽気が増えてくるとからだの活動性を高める情報が、人間の遺伝子にインプットされているようで、それにともなった反応をします。からだそのものは、原始時代の人間とあまり変わっていないのでしょう。

ところが春という活動性が増す時期になって、からだ遺伝情報が活動性を高めるように指令をだすのに、疲弊したからだがそれについていかないと、いろいろ体調不良を起こします。花粉症もそのひとつ。

継続的に来院していて春に花粉症を起こす患者さんを診察しますと、冬に食べ過ぎている方が多いです。特に冬に食べ過ぎたり夕食が遅い。人に多い。消化吸収したものを十分に代謝できず、膵臓や胃腸、肝臓が弱っています。脉を診ますと、流れが悪くなって滞留ぎみのような脉になっています。血液がどろどろになっているのでしょう。脂肪の多いものを食べすぎた人の血液を顕微鏡でみますと、赤血球などが脂肪でかたまりになって流れているのが観察されます。花粉症の方の脉はそういう脉状をしています。こういう方には食積(食べ過ぎて詰まった状態になっていること)の治療を徹底的に行ないますと、症状がかなり緩和されます。毎年花粉症に悩まされる人は、できたら半年くらい前から治療を続けると、春が楽です。

以上は中国医学の話ですが、西洋医学でも最近興味深い説が話題になっています。

最近東京医科歯科大学教授の藤田紘一郎先生が、「日本人の行き過ぎた清潔志向とアレルギーの相関関係」について積極的に発言されて、マスコミの注目をあびていらっしゃいます。

藤田先生は寄生虫や感染症をご専門に研究されています。先生によりますと、戦後寄生虫や感染症の研究が進み、公衆衛生のシステムもひろがり、1960年代以降、感染者が激減したのですが、それにともなってアトピーや花粉症などのアレルギー疾患が増えてきたのだそうです。

人間のからだには免疫機能があります。からだに病原が侵入してきたときに身を守るシステムです。たとえばなんらかの病原微生物がからだに侵入すると、それと戦ってからだを防御するシステムが働きます。それとともに抗体が産生されて、以後罹患しなくなるシステムがあります。子供の頃に「はしか」や「おたふく風邪」に一度かかると抗体が出来るので、以後感染しません。子供の頃に罹患しないで大人になって罹患すると不妊になったりします。どろんこ遊びをして、有害菌に触れていると、それから身を守ろうとする抗体がからだにふえます。しかし子供が家にこもってテレビゲームや読書に熱中していると、抗体ができないので感染症にかかりやすくなります。数年前、O-157に感染してなくなった児童がいましたが、ある大学の先生がその児童の家庭環境を調べると、親が過度に神経質で清潔好きだったとか。

抗菌グッズに身を固め、殺菌作用の強い石鹸などをつかって皮膚をゴシゴシ洗うと、病原微生物から守ってくれている十数種類の皮膚の表在菌が減少します。そうすると大人でも病原微生物にかかりやすくなります。そういう人間が、日本より衛生的でない発展途上国などに旅行に行くと・・・

アレルギーに悩んでいる方は、ぜひ藤田先生の御著書をよんでください。
読みやすくてお求めやすいものだと

『笑うカイチュウ』(講談社文庫)
『空飛ぶ寄生虫』(講談社文庫)
『清潔はビョーキだ』(朝日新聞社文庫)

などがあります。読みやすくておもしろく、名著だと思います。

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